氏名:原田 慧 / Harada Kei
役職:教授
専門分野:情報通信、知能情報学
キーワード:機械学習、データマイニング、説明可能AI
略歴
2011年、名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士後期課程修了。同年株式会社金融エンジニアリング・グループに入社。コンサルタントとして主に金融機関向けのデータ分析を担当しつつ、技術開発や社内外の人材育成に従事。2015年のKDDCUPでは親会社との合同チームをリードし準優勝。株式会社ディー・エヌ・エーでデータサイエンティストのマネジメントや新規AI案件の開拓に従事。2023年4月より電気通信大学教授。博士(数理学)。Kaggle Master。
ー先生の研究テーマを教えてください。
私は機械学習モデルの解釈、特に決定木系のモデルの解釈に興味があります。そのほか、Kaggleをきっかけに数学的な問題を解けるAIに取り組んでいたり、会社員の頃から人狼ゲームをプレイする人工知能の開発にも取り組んでいたりします。
ー今までどのようなことをやってきましたか?
私自身は、学部時代は興味も転々としましたが、数学のバックグラウンドです。
博士課程修了後、研究者ではなく就職を目指しました。数学を活かせる職場を探す中で、データサイエンスの仕事に出会いました。当時はまだ、データサイエンティストという言葉も一般的ではない時代でしたが、研究で身に付けたスキルを活かせる企業として、金融エンジニアリング・グループ(以下FEG)に入社しました。
FEGは、国内有数のデータマイニング技術を持ち、特に金融業界向けのデータ分析に強みを持っています。ここでは金融機関向けのデータ分析や信用リスク評価の仕事に従事しました。また、世界最大級の機械学習とデータ分析のコンペティション「Kaggle」にも積極的に参加しました。
データサイエンティストという職業が認知されるにつれ、国内のIT企業でもデータサイエンスに特化した専門チームが設立され始めました。その中で、ディー・エヌ・エーでKaggleの強豪を集めたデータサイエンスの専門組織が立ち上がり、私はマネージャーとしてさまざまなプロジェクトに携わりました。
また、FEG在職中から電気通信大学で非常勤講師として「データサイエンティスト特論」に関わっていました。その縁もあってD×2プログラムの教授として着任しました(2023年4月)。
ー研究室や学生の研究テーマについて教えてください。
当研究室ではデータサイエンスを基盤とした応用研究が行われています。例えば、現在指導している学生はレコメンド技術の応用に取り組んでいます。
私自身が、長らく実務家としてデータサイエンスに広く関わってきたこともあり、学生の指導についても、データサイエンスに関連したものであれば幅広く対応できます。実社会での応用やその実装に必要な企業とのネットワークも必要に応じて提供します。
ー研究室にはどのような学生に来てもらいたいですか?
私は、自分なりの研究テーマを持っている学生を歓迎します。思い切って「変わったこと」にチャレンジしたい学生も大歓迎です。データサイエンスを活用し、自らのテーマで課題を解決し、社会的に実装したいという学生に最適です。
例えば、“恋愛×データサイエンス”や“スポーツ×データサイエンス”など、一見変わったことのように見えても、すでに社会で実装されているものが多く存在します。指導のもと、自らのテーマをさらに掘り下げて研究を進めることで、新たな成果を生み出せるようサポートします。
当研究室の修了生はまだ出ていませんが、将来的にはIT企業でのデータサイエンティストやエンジニアとしてのキャリアが期待されます。また、起業を目指す学生も積極的にサポートしたいと考えています。
ー最後に、学生にメッセージをお願いします。
ぜひ学生のうちに、いろいろな人たちと交流を持って欲しいと思います。私は四国出身で、学生時代に自転車でお遍路をした経験があり、社会には多様な人々が存在することを知ることができました。それが私の今の生き方に少なからず影響を与えています。
今、社会は自ら課題を設定し、その解決に向けて具体的な取り組みを行った経験がある人材を求めています。ぜひ、自分の好奇心を大切にし、新しい知識や技術を積極的に追求してほしいと思います。